剣道の袴、脱ぎやすく 高校生が特許 きっかけはトイレ
中学2年の時、小中学生の発明や特許取得などをサポートする会社と連携した授業で、「身の回りに目を向け、役立つものを作る」という課題が出ました。
まず、「寝耳に水」ということわざから「耳に水が入る目覚まし時計」を考えました。でも、実際に耳に水が入ったら危ない。「光で起こしてくれる目覚まし時計」も考えましたが、すでに存在していることが分かりました。なかなか良い案が浮かばない中、剣道部をヒントに考えたのが、脱ぎ着しやすい袴でした。
剣道は中学で始めました。無心で打ち込め、細かい駆け引きで勝敗が決まるところが魅力です。でも、袴はトイレで脱ぎ着するのに時間がかかる。試合前、「水分を取るのを我慢せなあかん」という声をよく聞きます。私自身、試合直前は我慢していました。「ファスナーを使ったらすぐに脱げそうだな」とぽんと思いました。
一般的な袴は、脱着に2分ほどかかります。ファスナーをどこにつけたら脱ぎ着が楽になるのか、悩みました。初めは股の部分や横に付ける案を考えました。でもうまく脱ぐイメージがわきません。すでに特許を取得している袴の形状も調べた結果、腰の位置で横に開くファスナーなら脱ぎやすいことが分かりました。
ファスナーを外すと布が上下に分かれます。内側に縦ひももつけ、布が落ちないように工夫しました。見た目は一般的な袴とほとんど変わりませんが、15秒ほどで脱ぎ着ができます。通っていた道場の先生からも「袴にチャックなどに関する規定はなく、公式の試合でも使える」とお墨付きをもらいました。
シルバー人材センターの方に試作品を作っていただき、理想の袴ができあがりました。想像でしかなかったものが形になり、充実感もあるし、うれしい。7月に特許を取得し、部員から「着たい」と言ってもらえました。思いつきで名前をつけましたが、ずっとはいていたくなるような袴になったと思います。
さらにファスナーの位置などを改善し、商品化につなげるのが目標です。今後も身近なところで発想を変え、いろんなものごとにチャレンジしたいです。(聞き手・高井里佳子)
![ken4](https://livedoor.blogimg.jp/michaelsan/imgs/c/5/c5055876.jpg)
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