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1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/09(月) 23:22:58.04 ID:X8JGDAfNO私には、兄がいました。 
 3つ年上の兄は、妹想いの優しい兄でした。 
 ドラクエ3を兄と一緒にやってました。(見てました。) 
 勇者が兄で、僧侶が私。遊び人はペットの猫の名前にしました。 
 バランスの悪い3人パーティ。兄はとっても強かった。 
 苦労しながらコツコツすすめた、ドラクエ3。おもしろかった。 
 たしか、砂漠でピラミッドがあった場所だったと思います。 
 とても、強かったので、大苦戦してました。 

ある日、兄が友人と野球にいくときに、私にいいました。 
 「レベ上げだけやってていいよ。でも先には進めるなよ。」 
 私は、いっつもみてるだけで、よくわからなかったけど、 
 なんだか、とてもうれしかったのを覚えてます。 
 そして、その言葉が、兄の最後の言葉になりました。 

葬式の日、父は、兄の大事にしてたものを棺おけにいれようとしたのを覚えてます。 
 お気に入りの服。グローブ。セイントクロス。そして、ドラクエ3。 
 でも、私は、ドラクエ3をいれないでって、もらいました。 
 だって、兄から、レベ上げを頼まれてたから。 

私は、くる日もくる日も時間を見つけては、砂漠でレベ上げをしてました。 
 ドラクエ3の中には、兄が生きてたからです。 
 そして、なんとなく、強くなったら、ひょっこり兄が戻ってくると思ってたかもしれません。 
 兄は、とっても強くなりました。とっても強い魔法で、全部倒してしまうのです。 
 それから、しばらくして、ドラクエ3の冒険の書が消えてしまいました。 
 その時、初めて私は、泣きました。 ずっとずっと、母の近くで泣きました。 
 お兄ちゃんが死んじゃった。やっと、実感できました。 

今では、前へ進むきっかけをくれた、冒険の書が消えたことを、感謝しています。


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